■取り組みの背景

政府は、2023年6月に公表した「女性活躍・男女共同参画の重点方針2023」（女性版骨太の方針2023）の原案のなかで、東証プライム市場上場企業における女性役員の比率を、2030年までに30%以上にするという目標を掲げています。一方、現在の東証プライム市場上場企業の女性役員比率は11.4%となっています^※1。政府目標を達成するとともに、日本全体として女性役員の比率を高めていくためには、企業における女性活躍推進の取り組みをこれまで以上に強化することが必要になります。

「クロスメンタリング」とは、メンター（支援、助言する人）とメンティー（支援・助言を受ける立場の人）を他企業同士で組み合わせた、企業横断型のキャリア形成支援の取り組みとなります。国内では社内でメンタリング制度を取り入れるケースは多くありますが、企業や業種を超えたメンタリングを導入しているケースは少ないともいわれております^※2。一方で海外ではこのような取り組みは拡がり、業種が違うからこそ相談できることや、対話によりメンター、メンティーの視野が広がるということが成果としても報告されています^※3。

私たちは、経済産業省が主催する、「令和４年度 女性リーダー確保のためのクロスカンパニーメンタリングの実施環境整備に向けた課題調査事業」における試行プログラムに参加をいたしました。このプログラムによりモチベーションの向上ならびに参加者同士の交流が深まり、他企業との繋がりによって得られた経験の意義を強く感じました。そして今回、この試行プログラムに参加した知見をもとに、各社の女性のキャリア開発支援の取り組みをさらに発展させるため、女性リーダーの育成を目的としたクロスメンタリングを3社合同で実施する運びとなりました。 

※1 内閣府が東洋経済新報社「役員四季報」より算出（2022年７月31日現在）

※2 経済産業省 令和３年度調査報告 https://www.meti.go.jp/meti_lib/report/2021FY/000722.pdf

※3 30% Club Japan ttps://www.meti.go.jp/policy/economy/jinzai/diversity/hymas.pdf

■実施概要

・参加予定者

　 メンター、メンティー　各社２名（３社計12名）

 ・実施期間

グループでディスカッション

メンターとメンティーの顔合わせ

■各社コメント

【アデコ】 ピープルバリュー本部長 籾山直威

この度、昨年経産省が主催したクロスメンタリング・プログラムで相識ったパナソニック コネクト社およびルネサンス社と、再び合同でクロスメンタリングの取り組みを実施することができ、大変嬉しく思います。当社では、あらゆる人が自分らしく、生き生きと働く環境を創出することで、多様性に富んだ企業文化を醸成することを目的に、Diversity Equity＆Inclusion（DE&I）の実現に向けた取り組みを推進しています。今回の3社合同でのクロスメンタリングを通じ、当社からのメンティーが社外の経営層の方々からメンタリングを受けることで、それぞれがステップアップするためのきっかけとするだけでなく、当社におけるDE&Iの実現にポジティブな影響をもたらすことを期待しています。

【パナソニック コネクト】 代表取締役 執行役員 シニア・ヴァイス・プレジデントCFO兼DEI推進担当　西川岳志

当社では「健全なカルチャーが経営の根幹」であるとの考えから、属性にかかわらず誰もが活躍できる環境を目指し、DEIを推進しています。その中でも「ジェンダーギャップの解消」を重点項目の一つとして位置づけ、2035年に女性管理職比率30%を目指し取り組み中です。今回、アデコ社・ルネサンス社との異業種間でのクロスメンタリングを通じ、客観的な視点からのアドバイスにより各人が「自らの人生のデザイン」を見つめ直し、今後のキャリア形成を加速する一助としてまいります。

【ルネサンス】 取締役副社長 執行役員 ヘルスケア事業本部 本部長 望月美佐緒

当社は、企業内のイノベーションの創出や持続的な成長には、男女共に自らの能力を最大限に発揮できる環境の整備が必要不可欠と考え、これまで女性が働きやすい環境の整備に諸々取り組んできました。しかしながら、管理職層には、まだまだ女性は少なく、次世代のモデルとなり得る人材像が少ないのも事実です。そのため、当社は本取り組みを通じて、参加した社員がアデコ社、パナソニック コネクト社との交流を通じて、社内だけでは得られないイノベーティブな視点を身に着けてくれること、また、内なる「想い」を顕在化させ、昇進意欲の向上やリーダーシップ開発につながることも期待しています。